ホテルで快適に過ごしてもらうために知っておくべき居心地のいい部屋の条件
ホテルのリピーターを増やすためには、お客さんに「快適なホテルだった」と感じてもらうことが必要です。ホテルのどこを快適と思うかは、人によって違います。部屋について、家具や備品について、そのほかのサービスについて……。お客様が居心地よく感じる条件をチェックしてみましょう。
ホテルのカラーコーディネートの考え方
ホテルの客室プランニングでは、カラースキーム(色彩計画)がとても大切です。色の持つ心理的な効果や影響についての基本的な知識は持っていたいもの。カラースキームがきちんと組まれた部屋は、快適度が違います。
【カラースキームの基本】
客室というひとつの空間に、どんな色を配置していくかを決めます。一般的には次のように3つに分けて計画します。
ベースカラー
床、壁、天井など部屋の大きな面積に使う色です。白やベージュなど、ほかの色と合わせやすく飽きのこない色を選びます。
メインカラー
キャビネット、ベッドカバー、デスクなどに使います。インテリアの印象を決める色です。
アクセントカラー
クッション、ベッドスローなどに挿し色として使う色です。濃い色や個性的な柄を使って新鮮な印象を演出します。
近年はデュベ(白いカバーの羽毛布団)が主流。白をメインにシンプルにまとめて、濃色のベッドスローでアクセントをつけるというコーディネートが人気です。
【寒色と暖色】
青や青緑など冷たさを感じる色が寒色、赤やオレンジなど暖かさを感じる色が暖色です。寒色は副交感神経に、暖色は交感神経に作用するとされています。部屋を寒色系でコーディネートすると落ち着きが生まれ、暖色系にすると華やかさが生まれます。
【カラートーン】
トーンとは色調(色の濃淡強弱)のこと。客室にどんなトーンの色を使うかで空気感が変わります。
ペールトーン(澄んだ、明るい色調)
優しくふんわりした雰囲気で、女性や子供にアピールします。
グレイッシュトーン(彩度を控えた色調)
渋く柔和な雰囲気で、気分を落ち着かせます。
ダークトーン(澄んだ、暗めの色調)
円熟した落ち着き、高級感が出ます。男性、ミドルエイジ以上にアピールします。
ビビッドトーン(原色、はっきりした色調)
全体を白でまとめた部屋に、ビビッドトーンを置くと明快なアクセントになります。
【色イメージ】
色ごとに見る人に与えるイメージがあります。色とトーンと組み合わせで、部屋のイメージを作りましょう。
- 青:落ち着き、信頼、静か
- 緑:安らぎ、自然、癒し
- 黄:明るさ、無邪気、幸せ
- 紫:気品、高貴、艶やかさ
- 茶:落ち着き、安定、豊穣
- 黒:高級感、落ち着き、クール
- 白:清潔、純粋、無垢
居心地がいい部屋の家具の配置順
シティホテルの客室はだいたいシングル11~15㎡、ツイン22~25㎡程度の広さです。ビジネスホテルになるとこれよりも狭くなりますが、「狭さ=居心地悪い」とならないよう、家具配置の工夫で快適な部屋にしましょう。
ユーザーの動線を考えた家具什器を配置
最初にベッドの位置を決めたら、ドア横にクローゼット、続いてバゲージラック、キーや小物を置くデスク……と、客室の中でお客さんがストレスなく動けるよう動線を考えて家具什器をレイアウトしていきます。
部屋に合わせた家具サイズ
デスクやテーブル、椅子など、居住空間に必要なアイテムがそろっていると居住性がよくなります。部屋が狭い場合は、サイズダウンした家具を選んで置くようにします。
コンパクトでも高機能に
空間が高機能であれば、ある程度のコンパクトさはカバーできます。デスクやキャビネットを高機能にしてみましょう。近頃のお客さんは携帯電話やPCなど端末の利用が多いため、多口コンセントやLANジャックの設置は好印象です。
居心地をよくするための家具選びのコツ
ホテルでは、上質感があること、清潔ですっきり片づいていることが客室評価の2大ポイントです。家具の色調やテイストがそろっていると、室内が整った印象になります。
家具は高級感のあるものを選びましょう。ただし、大き過ぎる家具や背の高い家具は圧迫感を与えます。空間とバランスのとれた、低めの家具にすると広がりが生まれます。
居心地のいい部屋には、いくつかの条件があります。カラースキーム、家具の配置、家具の選び方など、お客さんに喜んで泊まっていただくために工夫してみましょう。