アンティーク調にぴったり!アールヌーボーとアールデコの違い

装飾性が高く、壁紙から照明器具まで、室内装飾に関わるさまざまな品がそろうアールヌーボーとアールデコは、アンティーク調のインテリアコーディネートにぴったりの様式です。アールヌーボーとアールデコは並んで語られることが多い様式ですが、ここではその違いを知っておきましょう。

アールヌーボーの誕生について

アールヌーボー(Art Nouveau:新しい芸術)は、19世紀末~20世紀初頭(1890~1910年代)に、イギリスをはじめヨーロッパに流行した装飾、美術様式です。18世紀後半に起きた産業革命から急速に近代化してゆく社会に対抗するように、花や植物といった自然で有機的なモチーフを、古典様式にとらわれない大胆なデザイン性で表現しました。

アールヌーボーの代表的建築
アールヌーボーはヨーロッパ全土に広まった様式で、さまざまな建築物があります。中でもヴィクトール・オルタがブリュッセルに建設した「タッセル邸」、スペインのガウディが作った「カサ・ミラ」などが代表的建築とされています。

アールヌーボー建築は、鉄やガラスといった近代的素材を使いながら、花や植物の茎がうねるような自由曲線など自然なモチーフを印象的に使った装飾が特徴です。

アールヌーボーの代表的インテリア
壁紙、ステンドグラスをはじめとする照明器具、家具など、さまざまなものにアールヌーボー様式の代表的作品があります。そのデザインは現在もインテリアの世界では人気があり、ウィリアム・モリスの壁紙などは当時のデザインが今にいたるまで引き継がれています。繊細な自由曲線を配した家具や建具なども人気のアンティークアイテムです。

アールデコの誕生について

アールヌーボーに続き、20世紀初頭(1910~1930年代)のヨーロッパおよびアメリカで流行した様式がアールデコ調。花や植物など、自然のモチーフと自由な曲線を特徴としたアールヌーボーに対し、アールデコは直線や幾何学模様が使われるのが特徴です。

優美で装飾性の高いアールヌーボーに比べると、アールデコはモダンで機能的。芸術が特権階級のものから庶民のものへ変わってきた時代に合わせて、大量生産のできる合理的なデザインが多く見られます。

アールデコの代表的な建築物
ヨーロッパ、特にフランスではじまったアールデコですが、第一次世界大戦後は戦勝国として隆盛を誇るアメリカがアールデコの中心地になります。

マンハッタンの代名詞である高層建築群が、まさに代表的なアールデコ様式。中でも、摩天楼の幾何学的装飾が美しいクライスラービルは、アールデコ建築の傑作と言われています。外観だけでなく、エレベーターホールにも幾何学的な装飾が施されているのが特徴です。

アールデコの代表的インテリア
大量生産を考えてデザインされたアールデコの家具や工芸品は、現代まで続くプロダクトデザインのはじまりと言って良いでしょう。直線的でスタイリッシュなフォルムや幾何学模様の装飾は、現代のクールモダンデザインの先駆けと言えます。

代表的なアールデコ作品はルネ・ラリックのガラス工芸や、朝香宮邸(現在の東京都庭園美術館)の内装を手がけたインテリアデザイナー、アンリ・ラパンの作品に見ることができます。

アールデコとアールヌーボー。名前は似ていますが、装飾には大きな違いがあります。装飾の違いが分かってくると、アンティーク家具選びがさらに楽しくなりそうですね。

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