アンティーク家具のバロック様式とロココ様式の違い

アンティーク家具の中でもバロック様式とロココ様式は、華麗な宮廷スタイルとして人気の様式。いずれも16~18世紀頃のヨーロッパで花開いた美術様式ですが、バロック様式とロココ様式の違いをきちんと言える人は少ないようです。アンティークファンならぜひ知っておきたい、バロック様式とロココ様式の歴史的背景や様式の違いを紹介します。

バロック様式の誕生について

17世紀のヨーロッパにおいて、宮廷を舞台に誕生したのがバロック様式。絶対王政の時代らしく、華麗でダイナミックな装飾が特徴です。国ごとに様式に差異はありますが、「太陽王」と呼ばれたルイ14世が統治した時代のフランス建築や美術が、バロック様式の中心とされています。

もともとバロックとは「歪んだ真珠」という意味。劇的でデコラティブなバロック美術は、「均整を欠いた美」という意味でバロックと呼ばれるようになったとされています。

バロック様式の代表的な建築物
パリの南西約20㎞のところにある「ヴェルサイユ宮殿」が、バロック建築の集大成と言われる建築物です。壮大な宮殿と庭園は、明暗が強調され色彩と装飾性に満ちています。
中でも有名な「鏡の間」は当時最高級の贅沢品だった鏡をふんだんに使い、金を貼った列柱が並ぶ絢爛豪華な大回廊です。

バロック様式の家具の特徴
ルイ14世時代の天才家具職人ブールがヴェルサイユ宮殿のために造った家具が、バロック様式の家具の典型という意見があります。背もたれに華麗な彫刻を施した椅子、金属などで象嵌を施したチェスト、柱型の金箔張りの脚をつけたテーブルなど、贅を凝らした豪華な装飾が特徴です。

ロココ様式の誕生について

18世紀の後半、爛熟した宮廷生活の中から生まれた美術様式がロココ様式です。ロココという名前は、バロック式庭園に見られる貝殻をはめて並べたロカイユ(岩)という人口洞窟からきています。

壮麗なバロック様式に比べると、ロココ様式は優美で繊細。バロック様式の特徴が豪壮な大宮殿や庭園に見られるのに対し、ロココ様式の特徴は室内装飾、特にサロンと呼ばれる貴族が集う部屋の装飾に見ることができます。

ロココ様式の代表的な建築物
ルイ15世の愛妾ポンパドゥール夫人のために建てられ、有名な王妃マリー・アントワネットが好んで過ごしたことで知られる「プチ・トリアノン」が、ロココ様式建築の傑作とされています。バロック建築と比べると外観はシンプルですが、内装は優美で女性的。淡い色彩と華奢な装飾が施されています。

ロココ様式家具の特徴
豪華絢爛なバロック様式の家具に比べると、ロココ様式の家具は軽妙で繊細です。うねるような曲線が特徴的なロカイユ装飾、白やパステル調の優しい色彩、花柄や天使などの紋様が特徴的。そのロマンティックな飾りは、とりわけ女性に好まれます。

豪華絢爛なバロック様式と優美で繊細なロココ様式。宮廷から生まれた2つの様式は、今も人を惹きつけてやまない魅力にあふれています。アンティークの花と言える2つの様式の中から、あなたもお気に入りのアンティーク家具を見つけてください!

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